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城戸・笹部研究室

城戸の独り言

2006年06月01日
ベストセラー「国家の品格」

なんて高圧的な偉そうなタイトルなんですか、これは。


しかも、本屋の店頭に平積みされてるじゃないですか。

 

出張の多い私は、東京駅で時間があると本屋に立ち寄り、移動中の暇つぶしのための本を買いあさるんです。先週、うわさでは聞いたことある、この藤原正彦氏の「国家の品格」を目の前にして、680円を捨てるつもりで購入しました。ついでに隣に積んであった「超バカの壁」も680円だして購入してしまいました。経験的にベストセラー、平積みしてある本にロクな本はないってこと知ってるんですけどね。魔が差したって言うか…。

 

養老孟司先生の「バカの壁」も「死の壁」も読みましたけど、関心も感動も笑いも涙もホホーっていうのも、ヘヘーって言うのも、なんにもなくって、ホントおもしろくないんです。毎回、金かえせと言いたくなりましたね。予想はしてたけど、「超バカの壁」も超オモシロクなくて、またしても680円スッテしまった自分自身に腹が立ちましたね。養老先生の本は、口述筆記なんで、おもしろくない理由は結局中身がないと言うこと。知的レベルの高い(?)友人、知人、神霊研究家のトシ・マツモト氏、誰に聞いても養老先生の本を高く評価する人は一人としていないんです。このような本がベストセラーになるってことは、すなわち我が国の民度の低さの証明じゃないかと常々思いますね。

 

結局は、養老先生の場合、元東大の先生がおっしゃることだから正しいに違いない、この本もタイトルがオモシロイし、だから中身もオモシロイに違いない、みんなもオモシロイって言ってるし、という極めて低次元の理由から生まれたベストセラーなんです。しかも解剖学者ですよ。解剖学者なんてまわりにいませんよね。たぶん、東大でも工学部や文学部の学者が同じ本を出したとしても決してベストセラーにはならなかったんじゃないですかね。東大+解剖学者+バカの壁というタイトル、この三種の神器があったからこそのベストセラーなんですよ。決して中身が評価された訳じゃない。

 

じゃあ、「国家の品格」はどうなのか。お茶の水女子大理学部の現役教授であり、しかも「数学者」ですよ。霞を食べて生きてる仙人が国家を語るなんて、いったい全体どういうつもりなのか、冗談じゃないヨって感じで、先入観を持って読み始めたんです。
そしたら、意外や意外、オモシロイじゃないですか、スバラシイじゃないですか、そして感動までしちゃいました。
特に、国語教育の重要性、小学校における英語教育のナンセンス、祖国愛、武士道、などなど、私が日ごろ思っていること、感じていること、主張していることを裏付けとなるデータを駆使しながら、読者を圧倒するんです。しかも、現役の大学教授でありながら、文部科学省の大臣や役人をバカだと切り捨てる。企業で言うと、子会社の係長が本社の社長や役員に向かって株主総会でバカって言うようなもんですよね。この私だって、文部官僚をバカだなんて言ったことはないですよ。アホって言ったことはあるけど。
ただただ圧倒されましたね。1億2000万人の国民全員が読むべき本です。高校の副読本にすべきです。


「国家の品格」と「超バカの壁」
「国家の品格」と「超バカの壁」


ということで、いたく感動した私は、早速、アマゾンで先生の著書を数冊購入しました。読み始めたら止まらなくなっちゃって、今や、いつでも、どこでも、ユビキタス藤原正彦状態です。とにかく、文章には才能がほとばしり、描写力と言えば、まるで読者がそこにいるかのように錯覚するほどだし、ごくごく自然に感情が移入し、目頭が熱くなったりしてしまう。学者のなかで、頭のいい順として、数学者>物理学者>化学者、とはよく言われますけど、文章力、国語力まで圧倒的に上だったとは、恐れ入りました。完敗です。あとは、藤原先生が数学者として二流であることを祈るだけです。天はニ物を与えてはいけません。

 

実は、先生の文才は遺伝なんですよね。藤原正彦先生は作家の新田次郎氏と藤原てい氏の次男であり、遺伝子にその才能が深く刻み込まれているばかりでなく、そのような家庭環境で育ったんだから、類いまれな作家数学者となったのも当然と言えば当然でしょうか。私のように、小学校では国語嫌いで本も読まず、ザリガニばっかり釣ってた教養のない人間とは根本的にデキが違うんですよね。しかも、腹立たしいことには、藤原先生はユーモアのセンスまでもが飛び抜けてるんですよ。頭二つくらいでしょうか。とにかく、その捻り具合といい、表現方法と言い、間合いと言い、先生はその辺が絶倫、いや絶妙です。文章にもまったく無駄がないんだから。いや~、参った参った。

 

学者作家でも対照的なのが、同じお茶の水女子大の土屋賢治という哲学者でしょうか。確か教育学部の学部長ですよね。週間文春にもエッセイを連載されていて、著書も多いんですけど、そのユーモアというか、お笑いのセンスはハッキリ言って最低です。女子高生風に言うと、「サイテーッ!」ですかね。だから、藤原先生がサイコーで、土屋先生がサイテー。同じ大学に最高と最低が存在するってお茶大は守備範囲が広い!

 

土屋先生のいかにも、ホントに、いかにもって感じの、人を無理やり笑わせようとする節操のない文章、ギャグは、捻りもなく、間合いも悪く、単にストレートに180度異なる意味の表現を用いて意表をつくだけなんですよ。東京人は笑っても大阪人は決して笑いませんね。遺伝子的に笑えませんよ。オモシロイというよりクダラナイって感じでしょうか。私は、あまりにも先生のエッセイがクダラナイので、毎号どれくらいクダラナイのか、確かめるためにじっくり読んでしまうほど、超クダラナイんですよね。ニコリともせず先生のエッセイを読んでるのはきっと大阪人だし、文春の担当者はきっと東京人なんだと思います。

 

そんなことで、にわか藤原正彦ファンになった私は昨日も大学生協の書籍コーナーに行って先生の著書を探したんです。しかし、なんてことでしょうか、ベストセラーの「国家の品格」はもとより、他の著書にしても一冊もないんですよ。おいてあるのは、芸能人のくだらないエッセイ集だったり。それに私の名著も隅に追いやられてるじゃないですか!


あああああ、この大学の知的レベルってこんなもんだったのか…

 


売れない三流作家
城戸淳二

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