千葉助教の論文が高分子論文集の「高分子科学・工学のニューウェーブ ― 2016 ―」に選出され、掲載されました。印刷で製造するタンデム有機ELデバイスの開発に関する内容をまとめたもので、真空蒸着と塗布成膜の違い、用いられる材料の制限の中で、高輝度・長寿命化の切り札技術であるタンデム有機ELデバイスを如何に実現していくか、どのように課題解決をしてきたのか、を述べたものです。興味のある方は是非ご一読ください!千葉先生おめでとうございます!
論文名:塗布印刷プロセスによる高性能タンデム有機ELデバイスの開発
掲載誌:高分子論文集 (Kobunshi Ronbunshu), 早期公開
要旨:複数の発光ユニットと電荷発生層を直列に積層したタンデム有機ELデバイスでは、ユニット数に応じた高性能化が可能になる。塗布プロセスでは、材料の溶解性や塗布溶媒の下層への浸透を十分に考慮する必要がある。また、真空プロセスでは容易に成膜が可能なアルカリ金属や金属酸化物は、有機溶媒に難溶であるため塗布プロセスへの適用が困難である。筆者らは、塗布成膜可能な酸化亜鉛なと粒子を開発し、アミン系高分子材料との積層化により優れた電子注入性と溶媒浸透防止を実現した。また、強いアクセプター性を示すリンモリブデン酸を電荷発生層に適用し、蛍光高分子型タンデムデバイスの開発に成功した。さらに低分子リン光材料へと展開し、白色タンデムデバイスの開発に成功した。このデバイスは実用的な高輝度 5000 cd/m2 において、世界最高水準の外部量子効率28%を達成した。