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城戸・笹部・千葉研究室

城戸の独り言

2000年03月20日
海外の歩き方(上)

 ここのところ、卒論発表やら修論発表に加えて、各種講演会やセミナーの原稿書きで忙殺されてまして、精神的に肉体的に全然余裕がないんですよ。最近は講演会やセミナーはできるだけお断りしようとするんですが、知りあいの先生の紹介だとか、担当者が美人だとかでなかなか断りきれないんですよねェ。
 ところが、こんなときに限って、現状を逃避しようとする本能なのか、単なる怠け者だからなのか、このような駄文を書いて時間を潰してしまうんですわ。

 

 先日、卒論発表の日に我が研究室の精鋭3名が誠に素晴らしい発表したもんで御褒美としてちょっと御馳走してやったんですわ。特選米沢牛のシャブシャブで、まあたいしたことないんですけどねェ。その時に4月にサンフランシスコで開催されるMRS(Materials Research Society)ミーティングに彼らも同行するんで、海外が初めて、しかも飛行機が初めてという彼らに、海外の歩き方を伝授してやりました。
 ひょっとして読者のみなさんの中にも、まだ海外に行ったことなくって、とか、もうすぐ新婚旅行で始めて海外に行くんですゥ、とか、4月からフィリピン工場に飛ばされますねん、なんて方がいるかもしれないので、うちの学生がこれまで起こしてきた失敗談を交えながらちょっとした歩き方のコツを伝授しようと思います。旅行先はアメリカっていうことでね。

 

 まず、出国にあたっては、パスポート、航空券、レンタカー借りるなら国際免許証、そしてクレジットカードの準備をしましょう。まあ、パスポート切れてた、とかいう大ボケでは最近笑いはとれません。けど、どこかのアホ助教授は、米沢駅で電車を待ってるときにパスポートを持ってくるのを忘れてるのに気が付き、あわててうちまで取りに帰った苦い経験があるそうです。それ以来彼はカバンの中にいつもパスポートをいれて常に携帯するようになりましたとさ。(僕のカバンチェックしないでね。) ですから、荷物をパッキングするときには、いつも「パスポート」「パスポート」「パスポート」・・・・と呪文のように唱えてください。これがないと海外には行けません。

 

 それから、海外では支払いはクレジットカートが主ですから、クレジットカードも是非持っていって下さい。ホテルのチェックインやレンタカーを借りるときには現金では「無理」と思って下さい。どれぐらい無理かというと、あなたが鈴木京香と結婚したいと思っても無理でしょう。それぐらい無理です。
 クレジットカードは海外で通用する「VISA」あるいは「Master Card」と「Amex」の2種類ぐらいは用意しましょう。たまに、どちらかしか取らない店があるんで2種類あったほうが無難です。JCBみたいな国内のカードはハッキリ言ってみじめな思いをすることがあります(JCBさんゴメンね、けどこれ本当だから)。都市部ならまだましですが、田舎にいくと悲惨ですよ。うちの学生でJCBだけ持っていって旅行の間中みんなから笑われてましたから。ねエ、飯泉君。ですから、クレジットカードはビザとアメックスあるいはマスターカードとアメックスで決まりでしょう。
 それからハッキリ言ってトラベラーズチェックはいりません。不便なだけです。もし、あなたの友人が、あなたにトラベラーズチェックを持っていったほうがいいよと忠告したなら、そのひとはたぶん20年ぐらい前に新婚旅行で海外旅行を一度だけしたことがあるチョー世間知らずでしょう。旅行代理店のカウンターでトラベラーズチェックをすすめられたなら、城戸がいらないと言ってた、とキッパリとお断り下さい。
それと、海外でも日本の銀行口座から直接引きだせるキャッシュカードがあればより便利です。たとえば、シティバンクのキャッシュカードなら国内外で24時間の引き出しができます。それから、最近では都銀のキャッシュカードも海外で使えるようになってるんで、もしあなたの銀行が遅れてて海外で引き出しできないなら(山形銀行おくれてる~)、銀行をかえるか、新たに他の銀行に口座を開いた方がいいでしょう。
 ちなみにシティバンクの行員さんは国内のどこの支店でも美人が多いですよ。だからおすすめ。心臓の弱い人は、始めてならちょっとドキドキするかも。山形銀行ははっきりいってシティバンクのようなことはありません。心臓にはいいですけどね。だいたい山形はですねえ「日本海沿い美人県一つ飛ばしの法則」にピッタリあてはまってて、秋田美人と新潟美人のあいだにはさまれた美人がちょっと少ない県なんでね。(くやしかったら美人を紹介してみろ、と言いたい)
  現金も必要ですけど外国は日本と違いブッソウですからねェ、私の場合は行く場所にもよりますが、都市部を回る場合は一週間で現金は7~8万円分ぐらいでしょうか。現金も両替するときにはできるだけ小さい紙幣に交換してもらうのがコツです。アメリカでは50ドル札より大きい札は、使うときに透かしをチェックされたり、店長の許可が必要だったり、あなたは犯罪者のように扱われます。だから20ドル札に交換してもらうのがベストですね。ポケットには50~60ドル入れておいて後はすべてカードで支払いましょう。
 さて、空の旅ですが、まず国際便では2時間前にチェックインする必要があります。ですから空港には2時間前について、カウンターでチェックインして、搭乗時間までビールを飲んで過ごすというのがベストです。ビールが宗教上の理由で飲めない人はべつにウイスキーでもウーロン茶でもいいんですけどね。
 その時に、出国手続きの書類(フォーム)に記入し、アメリカの場合はビザなし渡航の申請書と税関での申告書に記入します。これらは気前のいい旅行代理店だと航空券と一緒にくれます。万が一、気の利かない旅行代理店で航空券を買ってしまった場合は、出国に必要なフォームは入国管理のフロアーで手に入りますし、アメリカ入国に必要なフォームは機内でもらうことができます。ただし、機内でもらう場合はスチュワーデスさんが日本語をしゃべってくれればいいんですが、英語だけの場合は注意が必要です。
 2年前のことですが私の隣に座ってたうちの学生の竹内君は「Are you American citizen?」と聞かれて「イエース!」と胸を張って言ってました。そしてアメリカ人用のフォームをもらってました。まあ、あなたがホントにアメリカ人ならそれでいいんですがね。
 向こうに無事に着いたらまず入国管理を通過する必要があります。ここでは滞在日数や旅行目的を聞かれます。あなたの英語力が竹内君並でしたら、「7days, SightSeeing」などと胸を張って言って下さい。たぶん見逃してくれるでしょう。それすらできないあなたは引率の先生や同僚の後にカルガモものようにくっついていって下さい。以前、入国管理で大学院生が3名私の後ろにぞろぞろくっついて来た時、担当官が「Are they your children?」と聞きやがった。なめとんか、そんな年に見えるかっちゅうの。No、おれの学生だ、と言ってやると、「High School?」と聞きやがった。なめとんか、そんな年に見えるかっちゅうの(コピーペースト)。その時は結局学生は一言もしゃべらずに通過できました。続く税関では、普通は問題なくそのフォームを渡して通過です。ここで止められるのは、よっぽどのアホウかよっぽど人相が悪いかのどちらかです。
 昨年、うちのアホウの伊藤君とダオ君(ベトナム国籍)がここで止められました。その理由は所持している大金のため、ということでした。1万ドル以上所持してますか、という問いに、Yesのところにチェックしてたんですな。1万ドルといえば100万円でっせ、だんな。それがですねえ、1万ドルを10万円と勘違いしてYesにチェックしたとのこと。別室に連れていかれて20分以上たっても出てこないし乗り継ぎ便が迫ってたんで、もうちょっとでアホウ2人をシカゴ空港に置いていくとこでしたね。ですから、いろんなフォームに記入するときは辞書を引いたり、電卓たたいたりして、正確に記入してください。間違っても麻薬を所持してるか、なんて問いに対して「Yes」をチェックしてはいけませんぜ。たとえ持ってても。
 税関を通過すればこっちのもの、なんて思っているあなたは甘い。出たところにはウブなあなたを鴨にしようと待ちかまえる人食い鮫の連中が手ぐすね引いて待ってます。そう、白タクです。彼らの手口はこうです。トランクをガラガラ引っ張って人込みの中に出ていくと、「タナカさん、タナカさん」なんて、あなたの名前を呼びながら、タクシーが迎えに来てます、と腕を引っ張るオッサンがいるわけです。ここで、ウブなあなたは、ああそうですか、なんてホイホイ着いていくとタクシー表示もなければメーターもついてない車に乗せられます。行き先を告げると、ハイハイ承知しました、なんて愛想よく返事してくれるし、煙草を吸うかとか、どこから来たんですかお兄さん、きょうはいい天気で良かったですなあ、なんてとっても愛想よく英語で話しかけてきます。だいたい愛想がいいタクシーの運チャンなんて大阪以外にいるわけがないんですよ。(いやー、しかし大阪のタクシーの運チャンはようしゃべる。)10分ほど走ると、貴方の目的地とは別の方向に走り出し、かなりやばそうなところで(ニューヨークだったらハーレムかブロンクス)車を止め、ここで降りるか2000ドル払うか、どうしますか、なんて聞かれる。まあ、こういうふうに選択肢を与えてくれるならまだやさしいですけどね。ヘタしたら、身ぐるみはがれてはいサイナラですわ。あなたが英語力に自信がなければ持ってる現金全部あげてくださいね。自身があれば値切って見て下さい。ですから、まず白タクには絶対に乗ってはいけません。タクシー乗り場でキチンと並んで乗って下さいね。
 ちなみに、どうしてこのオッサンらがあなたの名前を知ってるかというと、あなたがデカデカとアルファベットでトランクに名前を書いてるでしょう。あれをチラッと見るわけですよ。ああいうのはセンスが悪いばかりじゃなく、世界中に自分が「Tanaka」ですよ、とか「Suzuki」ですよ、とか言いふらしてるのとおんなじです。私のような旅行通はカバー付きのネームタッグに名刺を入れてさりげなくカバンに下げておきます。パッと見ただけでは名前も住所もわかりませんし、カバンが迷子になったときはこれが自分のであるということを、確実に証明してくれます。ツウはなんでもさりげなくね。
 さてこれで、とりあえず現地に到着です。現地での歩き方については次回伝授いたします。

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